核融合研究においては、今日、一方ではITERに代表される大型装置による実用化への努力と、他方では着実により基礎研究を積み上げてゆこう、とする方向に分かれてきていると言われる。スピン偏極核融合やミューオン触媒核融合などはAdvanced Fusionとよばれ、核融合の効率アップを目指す研究の一環として考えられている。ここでは、スピン偏極核融合の基礎研究として、低いエネルギーでのスピン偏極重陽子同士の衝突実験を行い、本当に効率が上がるものか否かをためす実験予定について報告する。特に、低いエネルギーでの偏極標的を使った実験は困難を伴うため、これを乗り越える標的の工夫について紹介する。