反陽子、電子、ヘリウム原子がクーロン力で結合したエキゾチック三体系は、原子でも分子でもない奇妙な性質をもち、アトムキュール (atomcule=atom+molecule)とも呼ばれている。近年この三体系の準安定状態が発見され、精密なレーザー分光実験が行われるようになった。我々は「組替えチャネル結合法」を用いこの三体系のエネルギー準位の精密計算を行った。電子の運動に関しては相対論とQEDの補正も考慮した。計算値と実験値は数十ppbの精度で一致した。この結果をもとに、これまでparticle dataに推奨値の無かった反陽子の質量(および電荷)を60ppbの精度で決定することができた。