中性子星は広範囲の密度領域を含む「巨大な原子核」であり、核物理の「宇宙実験室」にもなりうる。そこでは、通常核密度では眠っていた強相互作用の特質が密度増大とともに顕在化し、多様なハドロン物質相があらわれる。この講義では、理論面から推定される中性子星の諸相を概括した後、近年注目されているストレンジネス核物理の観点から、中性子星コアで期待されるハイペロン混在の問題をとりあげ、混在の機構、及び、中性子星へのハイペロン効果、について議論する。後者では、状態方程式の劇的な軟化と質量観測情報との整合性問題、ハイペロン混在がもたらす速い冷却シナリオと表面温度観測情報との関連、等を紹介する。また、「NAGARA-event」が示唆するYY相互作用の新情報がこれらの問題にどう影響するか、に言及する。