我々は、二つの陽子のスピン相関を測定することで二陽子系のスピン・エンタングルメントを求めることを計画している。二陽子系のスピン・エンタングルメントした状態[1S0] (=(1/√2)[|↑〉1|↓〉2 - |↓〉1|↑〉2])は、中間エネルギーでの (d,2He)反応を利用して生成する。ここで2He は二陽子が [1S0]状態に結合したものを指す。通常、 [1S0]状態を作るのは簡単ではないが、 (d,2He)反応を利用することでほぼ純粋な状態を実現できる。実験で得られる二陽子のスピン・スピン相関は、量子力学による予想値とベルの不等式から予想される値と比較することができる。これは、量子力学の教科書に例題として取り上げられているスピン 1/2 粒子のEPRパラドックスのテストに相当する。従来、EPRパラドックスの検証は、主に二つの光子によるエンタングルメントを利用して実験されてきた。我々は、二つの陽子のスピン偏極を同時に測定できる偏極度計を開発している。
*1/8(水)から1/9(木)に変更になりました。