原子核のスピンは磁気モーメントが小さく、磁場中でも通常はランダムな方向を向いている。しかしある工夫により、彼らを強制的に一方向に向けるばかりか、その歳差運動を半永久的に持続させることができるようになる(スピンメーザー)。
本セミナーでは、新しいタイプの核スピンメーザーを開発し、129Xeの電気双極子モーメント(EDM)を現在の上限の2桁下まで探索する計画について紹介する。EDMは時間反転不変性を破っており、有限な測定値が得られると素粒子の標準理論を超えた物理の明確な証拠となる。本計画は、超対称性に基づくモデルの予言する領域に深く踏み込むことができると期待される。