Sendai Nuclear Science Colloquium (No. 130)

連続状態における線形応答理論:分子・クラスターの光応答

中務 孝

理化学研究所

日時:2000年10月27日(金) 16:15-

場所:東北大学理学部物理A棟604号室

有限量子多体系の励起状態の記述には,通常ある基底のもとでハミルトニアンを対角化するという方法がとられている。空間的に良く局在化した,いわゆる離散的エネルギー状態に対してはこの方法は有用であるが,粒子放出の閾値を越えるエネルギーの連続状態に対しては,その連続スペクトルや逃散幅を記述することができない。このような問題に対して,原子核物理では1975年に SholomoとBertschにより連続RPAと呼ばれる方法が提起された。同様の方法が1980年にZangwillとSoven により原子物理の光吸収反応に応用されている。この理論は,系の球対称性を仮定しているためそのままでは変形した状態には適用できない。そこで我々は系の対称性によらずに適用できる方法として,グリーン関数を用いた方法と実時間発展に虚ポテンシャルをを併用する方法を開発し,Naクラスターとアセチレン,エチレン分子などの光吸収反応の計算に応用し,その有効性を議論する。

当日16:00より茶菓を用意いたします。