Sendai Nuclear Science Colloquium (No. 145)

有限多体系の連続応答と反応 --- 原子核・原子・分子・クラスターの励起構造 ---

中務 孝

東北大学大学院理学研究科

日時:2001年12月06日(木) 16:30-

場所:東北大学理学部物理A棟604号室

原子核の存在限界であるいわゆるドリップライン近傍の原子核は、核子が非常に緩く束縛された有限量子多体系であり、外部からの摂動に対して容易に、分解や核子放出などの応答を示し、スペクトルは連続である。したがって、このような系の記述においては、束縛状態を記述するための従来の方法では不十分であり、連続状態との結合を正しく記述するため、外向波の境界条件を波動関数に課す必要がある。これは、一粒子の球面波については比較的容易であるが、一般の多体問題に対しては難しい問題である。この問題は、原子核物理に限らず、有限系に共通の課題であり、例えば、量子化学における分子の光応答の理論計算においても同様の問題が存在している。我々は、最近、連続状態を扱える方法として、「吸収境界条件法」を用いて、分子の光吸収断面積の密度汎関数計算を行い、実験と良い一致を見た。この方法を、原子核、特に不安定核に応用し、双極子振動の応答や、クーロン分解反応などを解析し、議論する。

当日16:15より茶菓を用意いたします。