Sendai Nuclear Science Colloquium (No. 190)

Experiments with the forward gamma detector at the Spring-8/LEPS

木野 幸一

RCNP

日時:2004年10月07日(木) 14:00-15:30

場所:東北大学理学研究科 総合棟 743号室

我々は、2003年にSpring-8/LEPSビームラインにて1.5-2.4GeVのレーザー電子光を用い、中性中間子光生成実験を行った。この実験で期待される反応に、プリマコフ効果による2π0生成や、π0以外の中性中間子の生成が挙げられる。前者はコンプトン散乱と似たγ+γ*→π0+π0の反応であり、π0のpolarizabilityと関連づけられる特徴がある。また、σ中間子を中間状態として経由するプロセスも考えられ、σ中間子へのユニークなアプローチでもある。後者は、核子の共鳴状態の探索に有効である。これまで広く行われてきたπ−N散乱やπ崩壊の研究では、クオークモデルで予測される数の共鳴状態が得られておらず、近年いろいろな研究所でη、ω、η´、K±,0、崩壊による測定が盛んに行われている。生成中間子の選択により励起状態のアイソスピンに制限を加えた測定や、レーザー電子光の直線偏光した性質を使った新しい情報が期待される。これらの測定を行うため、我々は5−15°の検出領域をもつ前方ガンマ線検出器を、高エネルギーガンマ線測定において優れているPbWo4クリスタルを用いて製作した。質の良いLEPSビームラインと組み合わせることで、このような前方であっても検出器が有効に機能していることがテスト測定にて確認され、既に稼動している後方ガンマ線検出器と組み合わせて実験が行われた。このセミナーでは、我々の中性中間子光生成実験の動機、前方ガンマ線検出器の構造と性能、実験方法、そして特に解析を進めているγ+P→η+P´反応についての物理と初期結果を紹介する。

13:45より茶菓を用意致します。