Sendai Nuclear Science Colloquium (No. 196)

K^+ -> pi0 mu+ nu を用いた時間反転対称性の破れ探索、及び、K^+ -> pi0 e+ nu を用いたスカラー、テンソル結合の探索

堀江 圭都

阪大核物理研究センター

日時:2005年02月14日(月) 15:00-

場所:東北大学原子核理学研究施設3階会議室

(1) K^+ -> pi0 mu+ nu を用いた時間反転対称性の破れ探索 この研究の目的は、大統計の静止K_{\mu3}崩壊を収集し、時間反転対称性の破れ(T-violation)を探索することである。K_{\mu3}の崩壊平面に対して垂直方向のミュオン横偏極度P_TはT-oddの物理量であり、有限なP_Tの存在はT-violationを意味する。標準模型が予言するP_Tの大きさは実験感度以下であるため、有限なP_Tの観測は標準模型を越えた物理現象の発見と言える。今回、この研究の最新結果を報告する。 (2) K^+ -> pi0 e+ nu (K_{e3})を用いたスカラー、テンソル結合の探索 弱い相互作用がV-A相互作用のみで記述されるという考えは、中間子や原子核などの多くの実験で支持されている。しかしながら、K_{e3}崩壊において、スカラー(S)、テンソル(T)型の相互作用による寄与があるという興味深い実験結果が報告された。我々は(1)の実験のために製作した実験装置を用いて、SとT相互作用の探索を行った。今回、この研究の最新結果を報告する。