Sendai Nuclear Science Colloquium (No. 291)

核融合反応理論の展開と超重元素

萩野浩一

東北大学理学研究科

日時:2019年07月18日(木) 16:30-

場所:大学院講義室(総合研究棟7階745号室)

核融合反応は、恒星におけるエネルギー源、宇宙における元素合成、 超重元素の合成など、物理学の様々な現象で重要な役割を果たす。 中でも、クーロン障壁近傍のエネルギー領域における重イオン核融 合反応は、核構造と核反応の織り成す豊富なインタープレイが見ら れる興味深い現象である。中重核領域において、核融合反応断面積が単純なポテンシャル模型に基づく予想に比べて数桁も増大するこ とが知られており、これは核構造との結合が量子トンネル効果を促 進する現象としてとらえることができる。セミナーでは、このエネ ルギー領域の重イオン核融合反応における量子多体ダイナミックス を議論する。特に、結合チャンネル法に基づく研究の最前線と今後の展望を述べる。更に、超重元素合成のための反応理論の構築に向け、中性子過剰核の物理を軸にした超重元素科学の展開の方向性を議論する。