原子核理論セミナー (No. 291)

パイ中間子原子分光実験による原子核密度におけるカイラル凝縮の定量評価

板橋 健太

理化学研究所 開拓研究本部 専任研究員

日時:2023年04月18日(火) 14:00-

場所:理学研究科合同B棟721号室

本セミナーでは、パイ中間子原子分光により、QCDの低エネルギー領域を理解するための実験的アプローチについて議論する。

RIBF で実施中の実験プロジェクトでは、深く束縛したパイ中間子原子を生成し精密分光する。これまで、原子核中のパイ中間子-原子核相互作用を高精度で決めることに成功した。これにより、媒質効果として波動関数くりこみによる斥力相互作用の増大を確認した。ここから逆に、核媒質中のカイラル対称性の部分的回復について秩序変数の定量的評価を行った。

本セミナーではさらに、パイ中間子不安定核の同定を目指す将来プロジェクトについても議論する。